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外交・安全保障

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2025/06/30
中国・台湾研究会コメンタリーNo.7「中国と世界の行方」(津上俊哉・津上工作室代表)を掲載しました。

 2025年4月トランプ大統領が全ての輸入を対象とした10%の関税賦課及び対米貿易黒字が大きいとして選定された70数カ国を対象とした「相互関税」賦課を発表して以来、世界経済は極度の先行き不透明に見舞われている。特に二大超大国、米国と中国の関税戦争はその影響の大きさから世界中が固唾を呑んで行方を注視している。

 この米中関税戦争では米国の大幅な対中関税引き上げに対して、中国が対抗的な対米関税引き上げ、さらに産業機器の生産に欠かせないレアアースの輸出規制を効果的に駆使してトランプ政権の譲歩を引き出すなど、経済強国ぶりを発揮している。

 しかし、その中国も国内では経済に深刻な問題を抱えている。一方で電気自動車、デジタル経済、AIなどの分野では高い技術レベルと強大な競争力を有する新興ハイテク産業が勃興しつつあるとは言え、「官」や投資に偏りすぎた富の配分の歪み、不動産や地方のインフラ投資など歴年の過剰投資がもたらしたバランスシートの劣化などの問題は構造的で、解決の見通しが立っていない。このため、中国経済が近未来に「崩壊」する可能性は極めて低いとしても、中長期的には停滞に向かう恐れが大きい。本稿では、まず中国経済の問題点と強みを分析した上で、これからの中国がどのような方向に向かい、それが世界にどのような影響を及ぼすかを論じたい。

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